"リゾ婚の会社"という枠を超えて──衣裳メーカー事業「enine enne by WATABE WEDDING」の挑戦
2025.07.25
1953年創業のワタベウェディング株式会社は、「わたくしたちの目的は、真心の奉仕と知恵ある提案を通じて、すてきな生活文化を創造し、心豊かな社会の実現に貢献することにある。」という経営理念のもと、長年にわたりブライダル事業を展開してきました。1973年にはホノルル店をオープンし、"リゾ婚"のパイオニアとしてその名を広めてきました。
しかし、コロナ禍により大きく変化したブライダル業界のなかで、新たな転換点を迎えます。それが、自社で企画・製造するオリジナルのドレスやタキシードを、結婚式場や衣裳店に向けて卸販売する衣裳メーカー事業「enine enne(エニーネ エンネ) by WATABE WEDDING」(以下、「enine enne」)の立ち上げでした。
コロナ禍をきっかけに始まった新たな挑戦
ワタベウェディングは、コロナ禍により大きな打撃を受けました。海外渡航が制限され、海外挙式が実施できない状況に。それに伴い、リゾ婚向け衣裳の需要も急減しました。
「どうにかして会社を支えなければならない」。そう考えたとき、あらためて目を向けたのが、自社での衣裳企画・製造という"眠っていた強み"でした。
▲画像:ワタベウェディングのドレスサロン
ワタベウェディングは、グループ内に縫製工場を持つ強みを活かし、一貫生産体制を最大の武器に、衣裳メーカー事業を本格始動します。
日本国内でこの体制を持つ企業は、実はごくわずか。ワタベウェディングは次の3つの価値を安定的に提供することができます。
- 高品質:細部までこだわったパターン設計と縫製技術
- フェアプライス:中間マージンを排除した適正価格
- 短納期:一般的に半年かかる納期を、最短45日で実現
衣裳プロダクト営業グループのグループマネージャー・岡本拓也は、すぐさま展示会を開催し、DMや電話での誘致活動をスタート。しかし、初回の展示会来場者はわずか10社程。
「ワタベウェディング=リゾ婚」という固定イメージが、国内市場への展開を困難にしていました。
事業名の刷新──「enine enne」に込めた想い
転機となったのは、事業名の刷新でした。
新たに掲げた名称「enine enne」は、「縁」と「円」に由来し、「出会い」や「人と人のつながり」への想いを込めたもの。
▲画像:「enine enne」のロゴ
事業名の変更に合わせて、岡本は全国を自ら奔走。展示会への誘致や営業活動も、オンラインに頼らず直接足を運ぶ姿勢を貫きました。
岡本「人と人とのつながりこそが、何よりも大切なんです」
そんな地道でアナログなアプローチこそが、「enine enne」の成長の原動力に。3回目の展示会では来場企業が60社にまで拡大。
岡本にとって忘れられない瞬間は、初めてお客様が「enine enne」のタキシードを購入してくれた時だといいます。
岡本「あの瞬間は、今でも鮮明に覚えています」
▲画像:新作衣裳を紹介する岡本
新ブランド「genicoco」始動──国内挙式向け衣裳の開発へ
「enine enne」が抱えていたもう一つの課題は、取り扱う衣裳の多くがリゾ婚向けにデザインされていたこと。そこで岡本は、国内挙式のトレンドに対応した新ブランドの必要性を感じ、2023年11月に企画を開始。2024年8月には、まったく新しいコンセプトによる国内向けブランド「genicoco(ジェニーココ)」を立ち上げました。
▲画像:「genicoco」のドレス
現在、「enine enne」のチームは7名の少数精鋭。トレンドを捉え、パリコレやアパレル業界の潮流を積極的に取り入れながら、スピーディーな商品開発を実現しています。
「genicoco」は、
「見るほどに心奪われる。おふたりの叶えたい姿が、ここに。」
をコンセプトに、以下のようなこだわりを持つ衣裳を展開しています。
- 完璧に計算されたシルエット
- 体のラインにやさしく寄り添う着心地
- 映えるデザイン性
これにより、国内の結婚式場や衣裳店のバイヤーから高評価を獲得。リピーターからは次のような声も寄せられています。
「お客様に着せると、想像以上にシルエットが美しい」
「陳列しているだけで、つい手に取りたくなるデザイン」
「価格・納期・品質、すべてに納得できる」
2025年8月には京都で100社、9月の東京展示会でも多くの来場が見込まれています。
カラードレス強化で、さらなる飛躍へ
現在「enine enne」が注力しているのが、カラードレスのラインナップ強化です。トレンドの移り変わりが激しいこのカテゴリは、バイヤーの関心も非常に高く、8月からの本格展開で展示会売上の2倍増を目指しています。
中でも注目は、「enine enne」だからこそ実現できる、チュール素材を5枚重ねて仕立てたカラードレス。贅沢な生地使いにより、深みのある色彩や陰影が生まれ、他にはない存在感を放ちます。
▲画像:ベージュのカラードレス
さらに、用途や市場ニーズに応じたブランド展開も視野に。フォトウェディング向けの衣裳開発にも取り組んでおり、シンプルながら高いデザイン性を持つフレア丈・アンクル丈など、新たなスタイルを提案していきます。
ワタベウェディングが築いてきた信頼を背景に、大手アパレルブランドや著名人とのコラボレーションも実現。多様化するニーズに、豊富なラインナップで応えていきます。
衣裳を届ける、その先へ──「心豊かな社会」に寄り添うブランドへ
「enine enne」は、ワタベウェディングが70年以上にわたり積み重ねてきた商品力と信頼から生まれたブランドです。それは、「真心の奉仕」と「知恵ある提案」を重ねてきた軌跡でもあります。
ただ衣裳を売るのではなく、人と人とのご縁を紡ぎ、人生の特別な瞬間に寄り添う。
すてきな生活文化を創造し、心豊かな社会の実現に貢献する──
「enine enne」は、そんな想いを大切に育てていくブランドです。
「enine enne by WATABE WEDDING」概要
「enine enne by WATABE WEDDING」は、ワタベウェディングが内製したオリジナルドレス・タキシードを、結婚式場や衣裳店に卸販売する、2023年11月よりスタートした衣裳メーカー事業です。「enine enne」という名称は、日本語の「縁」という言葉を使い、前から読んでも後ろから読んでも同じ読みになる「enine」と「enne」という造語をつなぎ合わせることで「つながるご縁」を表現しています。また、「enine」の中央にある「i」には「縁と縁の間にある人との出会い」という意味が込められています。
■「enine enne」公式HP URL:https://enine-enne.com/
■「enine enne」インスタグラムアカウント:@enine_enne(https://www.instagram.com/enine_enne/)