「旅先で叶えるネイティブフォトウェディング」~インバウンド向けフォトウェディング事業ができるまで~

 ワタベウェディングは、インバウンド専用のフォトウェディングプラン「ネイティブフォトウェディング」の販売を2024年6月にスタートさせました。

 「日本でフォトウェディングを撮りたい」と思っても慣れない言語や情報の少なさから一歩を踏み出せずにいる海外のカップルは少なくありません。

 コロナ禍を経てワタベウェディングのフォトスタジオにも、海外から直接問合せが届くようになりました。日本で写真を残したいと思っている海外のお客様がいるなら、もっとその声に応えられるのではないか、そして海外にも拠点を持つワタベウェディングだからこそ、新しい形で日本のフォトウェディングを海外のお客様に届けられるのではないか。

 そんな気づきから始まったのがインバウンドフォト事業です。

 今回は、この事業の開発を担当した稗田に、事業立ち上げの背景や、商品づくりで試行錯誤したことなどインタビューをしました。立ち上げに至るまでの想いや、商品が形になるまでのストーリーをお届けします。

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DMC事業本部 営業部 インバウンドフォト推進チーム 稗田チームリーダー

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インバウンドフォト撮影イメージ

海外からの問合せが、事業のきっかけに

 2022年10月に新型コロナウィルス感染症の水際対策が緩和されて以降、訪日外国人が徐々に戻ってくるのと同時に、ワタベウェディングのフォトスタジオの店舗へ香港・台湾・韓国など海外のお客様から直接問合せをいただく機会が増えました。

 実際にお問合せから撮影までつながったケースもありましたが、当時はまだインバウンドのお客様に向けた専用プランも、海外向けの情報発信もありませんでした。

 そのため、日本語のWEBサイトを自ら探し、慣れない言語で問い合わせをしていただける感度の高いごく一部の方だけが来ている状況でした。

稗田:

「日本で撮影したいと思っていても、情報が見つからなかったり、問合せのハードルが高かったりして、行動に移せずにいる潜在顧客がその何倍もいるのではないかと考えました。」

 

 そこで、独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)よりインバウンド市場を調査すると、その可能性は明らかになりました。2023年6月の訪日外国数は200万人を突破し、上半期だけで1,000万人を超えていました。(※1)

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(※1)「訪日外国数」JNTO調べ

 訪日者の構成比が高いのは韓国、中国、台湾、香港といったアジア圏で、なかでも香港・台湾はリピーターが約8割、中国も5割を占めていました。(※2)

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(※2)「訪日外国人の消費動向 2019年 年次報告書」国土交通省観光庁調べ

「日本に来る人」ではなく、「何度も日本に来る人」に目を向ける

 調査結果から、商品化する上でターゲットとする国として選定したのが、香港・中国・台湾です。韓国については、独自のフォトウェディング文化があり「韓国フォト」が根強いことから、今回のターゲットからは外すことに。

 また、香港・台湾・中国にはワタベウェディングの現地法人があったことも、ターゲット選定の大きなポイントとなりました。

 さらに今回は、先ほど記載した調査結果から、リピーター率が高いことがわかっていたため、何度も日本を訪れている「リピーター」の方をターゲットとすることにしました。

「日本らしい場所」だけではない。日常の風景を写真にする

 商品のコンセプトを考える際、意識したのは、当時のアジアのフォトウェディングのトレンドでした。

稗田:

「商品化を進めていた当時、アジアのトレンドとしてフォトウェディングは必ずしもウェディングドレスが必須ではなく、『レトロ』や『エモい』といった世界観を楽しむ写真が流行していました。そこで、日本を何度も訪れる方だからこそ楽しめる場所という視点を掛け合わせ、日本の日常に入り込むようなフォトウェディングのアイディアが生まれ、海外の方から見た自国にはない目新しい風景の撮影をしたいと考えました。

そこから、コンセプトイメージとして『私たち現地に住む人間が自分たちの暮らす街並みの何気ない風景の中でフォトウェディングを提案する』ということ。それを一言で表現したのが『ネイティブフォトウェディング』です。」

 

 有名な観光地で撮るだけではない、その土地で暮らす人だからこそ知っている風景や、日本の日常にある何気ない瞬間まで、旅の思い出に残す。

 それが、この商品が目指した「ネイティブフォトウェディング」です。

 

日本の「当たり前」が海外では当たり前とは限らない

 コンセプトが決まった後も、商品化までにはさまざまな試行錯誤がありました。中でも苦労したのが、プラン内容と価格設定です。

稗田:

「海外の方は、日本人とは全く異なる環境で育っているので、考え方そのものが違います。日本では当たり前のこともでも、海外では当たり前ではないことが多々あり、調整に苦労しました。」

 そこで頼りにしたのが、現地法人のスタッフからの情報でした。今回ターゲットとした香港・台湾・中国には、ワタベウェディングの現地法人があります。現地のスタッフから、アジアのお客様の考え方やニーズについてアドバイスをもらい、日本人目線だけでは気づきにくい部分を一つひとつ確認していきました。

 まず取り組んだのが、現地で人気のあるウェディングフォトのリサーチです。中国版のウェブサイトなどを活用して、撮影で人気のロケーションやポージング、写真編集のテイストなどを研究しました。その結果をサンプル撮影のロケ地選びや撮影イメージに反映させました。

 調査を進める中で見えてきたのは、好まれる写真のテイストにも違いがあるということでした。例えば、足元だけを写したような人物の表情がわからないイメージカットよりも、新郎新婦の顔がはっきりとわかる写真が好まれる傾向にありました。また、ウェディングドレスやヘアメイクにも違いがあり、現地のトレンドを踏まえた商品づくりが必要でした。

 さらに、写真そのものだけでなく、商品に対して何に価値を感じるかという点にも違いがありました。

 日本では、撮影するロケーションや衣裳などに価値を感じる傾向がある一方、今回ターゲットとしたアジア市場では、フォトグラファーや美容師の拘束時間を重視する考え方が見られました。

 こうした違いは、プランの構成にも関わります。日本では、基本プランにオプションを追加し、お客様が必要なものを選んでいくスタイルが一般的です。一方アジア市場では、衣裳などあらかじめ含まれたプランが一般的で、時間単位で商品を選び、その時間の中で希望するロケーションや衣裳の点数などを自由に組み合わせるという考え方が特徴的でした。

 さらに、競合について調べていくと、想定以上に価格競争が激しいこともわかりました。競合となるのは日本企業だけではなく、現地のローカル企業も含まれます。そこで、日系企業やローカル企業の価格や商品内容を調査し、現地で選ばれる価格になるよう、何度も調整を重ねました。

 このように、日本で当たり前だと思っていた商品設計も、視点を変えると当たり前ではないことがわかり、現地の声を聞くことで、今回ターゲットとしたアジアのお客様にとって分かりやすく、魅力を感じてもらえる商品とは何かを考え、形にしていきました。

商品づくりで大切にしたのは、「日本をもっと好きになってもらうこと」

 こうして形になっていった「ネイティブフォトウェディング」ですが、商品づくりで大切にしたのは、フォトウェディングを提供することだけではありません。

稗田:

「海外のお客様が日本をより好きになってもらえるような時間を提供して、思わず人に見せたくなるようなフォトウェディングを提供したい。写真を撮る時間そのものが、日本を旅する時間になって、帰国して写真を見返したときに、『日本に行って良かった』と思ってもらいたい。そんな体験を目指して、ロケーションや衣裳、撮影時間などの商品設計を行いました。」

「モデルコース」」から、おふたりらしい撮影へ

 現状のプランとして、モデルとなるコースがありますが、お客様のご希望に合わせてロケーションを組み合わせるケースが多い状況となっています。

稗田:

「フルオーダーでなくてもいいけど、自分たちの希望に合わせてカスタムしたいというお客様が多い傾向にあります。人とは違う、少し特別感のある日本での写真を残したいというニーズもある一方で、旅の要素が強いことから、東京タワーや渋谷、八坂の塔、紅葉など、ひと目で日本と分かる観光スポットも人気があります。『ネイティブ』という言葉からイメージする日常の風景と、海外のお客様が期待する『日本らしい景色』、その両方を組み合わせながら、お客様それぞれのプランを作ることができることもこの商品の魅力となっています。希望の多かったロケ地としては東京の渋谷や京都の伏見稲荷大社です。」

写真のクオリティに妥協しない

 インバウンド向けの商品だからこそ、特に大切にしているのが「写真のクオリティ」です。

稗田:

「アジアのお客様は日本人よりも写真のクオリティに対してシビアな目を持っていると感じています。そのため、納品時にはアジアのお客様向けの編集を加え、写真の仕上がりにもこだわっています。また、商品の品質を高めるため、社内のトップフォトグラファーにも監修に携わってもらっています。」

 そのおかげで、実際に販売を開始してから商品に対して満足しているという声が多く届いています。

香港から、台湾・上海へ、そしてさらなる展開へ

 事業は少しずつ展開を広げています。

 2024年6月に香港から販売をスタートしました。2024年内には台湾・上海へと販売エリアを拡大しました。撮影ができるエリアとしては、福岡・京都・大阪から始まり、東京・北海道へと広がっています。

 2025年には台湾の旅行会社と提携をし、京都の撮影プランの販売を開始し、その後シンガポールとタイにて現地の旅行会社と提携をして販売をしていただいています。

 現地の声や市場のニーズを一つひとつ確かめながら、販売エリアや提携先を広げてきたインバウンドフォトウェディング。今後もお客様のニーズに目を向けながら、日本で過ごす特別な時間と、その思い出を形に残すフォトウェディングの魅力を、より多くのお客様に届けていきたいと考えています。

「日本で撮りたい」を「日本に行って良かった」に

 海外のお客様からのお問合せから始まったインバウンドフォトウェディング事業は、市場調査、現地へのヒアリング、競合調査など、なども調整をしながら少しずつ形になって生きました。

 そして今もお客様のお声を聞きながら進化させていっています。

稗田:

「インバウンドフォトウェディングの事業はまだまだ軌道に乗っていると言える状況ではありません。今後、安定的な事業へ成長させていくことが目標です」

 日本で撮影することそのものが、海外のお客様にとって特別な旅の思い出に、そして写真だけではなく、日本で過ごした時間まで好きになってもらえるように。

 ワタベウェディングはこれからも海外のお客様の声を大切にしながら、新しいフォトウェディングのかたちを作っていきます。

「ネイティブフォトウェディング」撮影イメージ

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撮影イメージ(福岡)

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撮影イメージ(京都)

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撮影イメージ(大阪)

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撮影イメージ(東京)

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撮影イメージ(北海道)