廃棄予定の婚礼用着物から生まれたサステナブルファッションブランド「WAMODA JAPAN」~大切な衣裳を、次の世代へ~
2026.09.11
1953年、当社創業者・渡部フジは、当時花嫁衣裳が不足していた状況の中、自身の衣裳を無料で貸し出すという"ボランティア"活動をきっかけに、当社の前進である「ワタベ衣裳店」を創業しました。当社は創業以来、長年にわたり、美しい門出の日を最高の装いでお迎えいただくためのお手伝いをしてまいりました。
ワタベウェディングでは、多くの方の特別な日に寄り添ってきた婚礼衣裳を、新たな価値へとつなげる取り組みを行っています。
廃棄される予定だった着物をリメイクし、ファッションアイテムとして生まれ変わらせるサステナブルファッション「WAMODA JAPAN」です。
そこには、着物そのものだけではなく、そこに込められた想いや歴史まで大切に受け継いでいきたいという、一人の社員の想いがありました。
今回は、「WAMODA JAPAN」の立ち上げから商品づくりまで携わる、リメイクファッション営業チームの柏原に、ブランド誕生の背景や、ものづくりに込めた想いを聞きました。

リメイクファッション営業チーム 柏原
「もったいない」から始まった、WAMODA JAPAN
柏原は、もともと、着物だけではなくドレスやタキシードも含め、社内で廃棄される婚礼衣裳をゼロにしたいという目標を掲げていました。
ご列席の方の衣裳を取り扱うWEBサイト「youRSTYLE(ユアスタイル)」を運営する部署への異動をきっかけに、着物を扱う機会が増え、そこで目にしたのが、廃棄対象となっていた数々の着物でした。
柏原「当社では、お客様にご利用いただく着物に厳しい品質基準を設けており、その基準を満たさない衣裳は廃棄処分されていました。その多くは、傷や汚れなどはあるものの、いずれも軽微なものであり、それ以外の部分はまだまだ使用できる状態でした。これをそのまま捨ててしまうのはもったいないという思いから、まずは着物から廃棄をなくすことを目指したいという想いからスタートさせたのが「WAMODA JAPAN」です。」

知識ゼロからのブランドづくり
柏原自身、もともと服をつくった経験があったわけでも、着物に関する専門的な知識があったわけでもありません。
柏原「何も分からないところからのスタートでした。ただ、社内には着物について詳しい方がたくさんいたので、周りの方に教えていただいたり、サポートしていただいたりしながら、一つひとつ形にしていきました」
柏原の周囲を巻き込む力が発揮され、周りの協力を得ながら少しずつ具体的なブランドへと変わっていきました。
そして、WAMODA JAPANが大切にしているのは、単に「捨てられるはずだった着物を再利用する」ということだけではありません。
「始末の心」を、次の世代へ
京都生まれ、京都育ちの柏原がブランドを考えるうえで大切にしているのが、「始末の心」という考え方です。
柏原「「始末の心」は、ものやお金を大切にするだけではなく、その背景にある人の想いや、そこに至るまでの過程も大切にするという考え方。
例えば、ご飯茶碗に残った一粒のお米を「もったいない」と感じるのは、単にお米そのものを無駄にしたくないからだけではありません。
その一粒のお米をつくった生産者、運んだ人、管理した人など、そこに関わった人たちの想いまで含めて大切にする。着物そのものだけではなく、その着物がつくられた背景や歴史、そしてそこに込められた想いまで大切にしていきたいと思っています」
婚礼衣裳だからこそ、受け継ぎたい「想い」
WAMODA JAPANの商品づくりで、柏原が特に意識しているのが、婚礼衣裳ならではの背景です。
例えば黒留袖は、子どもの結婚式で親御様が着用されることの多い衣裳。
そこには、「おめでとう」「これからも頑張ってね」という、親御様からお子様へのさまざまな想いが込められています。
着物の柄を選ぶときにも、その一つひとつに意味や願いが込められています。
柏原:「婚礼衣裳には、着る人だけではなく、その家族の想いも乗っていると思うんです。だからこそ、その着物を新しい形にして、家族や恋人、お子様など、次の世代へつないでいけるような商品をつくりたいと考えています」
「捨てない」だけではなく、「受け継ぐ」。
それがWAMODA JAPANの商品づくりの根底にあります。
「WAMODA JAPAN」に込めた名前の意味
ブランド名の「WAMODA JAPAN」は、「和」と「モダン」を掛け合わせた造語です。
柏原「ワタベウェディングの"ワ"、和装の"和"、そして人と人との"輪"。人とのつながりや縁を大切にしたいという想いも込めています。一方で、「和装」という言葉には、伝統的で古いものというイメージを持つ人もいるかもしれません。だからこそ、「モダン」という言葉を組み合わせることで、伝統は古いものではなく、今の時代にも新しい形で受け継いでいける。そんなブランドの考え方を表現しています。」

WAMODA JAPANロゴ
【リメイク業者インタビュー】着物の魅力を引き出し、新たな価値へ
実際のリメイクを担っているのが、WAMODA JAPANの取り組みに共感し、制作に携わるリメイク業者です。
今回リメイク業者の方へもインタビューを行いました。
WAMODA JAPANの取り組みについて最初に聞いたとき、どのように感じられましたか。
リメイク業者「初めてこのプロジェクトの話を聞いたときに感じたのは、「面白そう」という率直な気持ちでした。着なくなった着物は、タンスの中で眠ってしまうことも多いと思います。それが今の時代に合わせて新しいものになり、新しい価値が生まれるということに魅力を感じました。」
リメイクする際の難しさや心掛けていることはなんですか。
リメイク業者「着物のリメイクには難しさがあります。着物は一着一着、柄や色、保存状態が異なるため、同じ商品をつくることができません。一着一着状態が違うので、その着物の良さをどう活かしていくかが難しいところです。でも、そこがリメイクの面白さでもあります
制作するうえで大切にしているのは、着物が持つ魅力を最大限に引き出すこと。そして、新しい形になったあとも長く使ってもらえるよう、品質や縫製にもこだわっています。」
制作する中で印象に残っている着物はありますか
リメイク業者「これまでの制作の中でも特に印象に残っているのが、何十年もの歴史を持つ着物をリメイクしたときのこと。何十年も前につくられた、歴史のある着物をリメイクさせていただいたときは、その歴史や伝統が、また新しいものに生まれ変わるんだという喜びがありました。かつて誰かの大切な日に寄り添った一着が、別の誰かの日常へ。
着物が持つ歴史は途切れるのではなく、新しい形へと姿を変えながら受け継がれていきます。眠っていた着物にもう一度スポットライトが当たり、これまで使っていた方から、別の方へ新しい形で受け継がれていく。伝統や歴史が、時代とともに移り変わっていくところに、このプロジェクトの魅力を感じています」
<リメイク業者 株式会社MANO(マーノ)平塚様 インタビュー動画>
特別な日に着る衣裳を、日常へ
現在、WAMODA JAPANでは月に1回、表参道でポップアップを開催しています。
2026年6月からは京都でも販売をスタートし、少しずつ活動の場を広げながら、より多くの方にWAMODA JAPANの魅力を届けています。
来店する方の9割以上が海外からのお客様で、ヨーロッパや英語圏、東南アジアなど、さまざまな国や地域から訪れています。
日本の婚礼文化から生まれた衣裳が、国境を越えて新たな価値を持ち始めています。
今後は、現在の対面販売に加え、ECサイトでの展開も視野に入れています。
さらに、ワタベウェディングが保有する衣裳だけではなく、お客様自身が持っている大切な衣裳や着物をリメイクし、新しい形で使い続けていただけるサービスにも広げていく予定となっています。
「お祝いの気持ち」を、日常にも
WAMODA JAPANが目指しているのは、単に衣裳を廃棄せず再利用することではありません。
婚礼という特別な日に使われる衣裳を、日常の中でも使っていただく。
そうすることで、これまで特別な日だけに存在していた衣裳が、もう一度動き始めます。
一着の衣裳を新しい形に変えることで、その衣裳に込められた想いや歴史も、次の人へと受け継がれていく。
「捨てない」という選択から始まった柏原さんの挑戦は、今では、人から人へ、時代から時代へ、大切なものをつないでいくブランドへと広がっています。
「廃棄される衣裳をゼロにしたい」という当初の想いも、WAMODA JAPAの取り組みを通して、少しずつ実現へとつながっていくことが期待されます。
知識も経験もないところからスタートし、社内の仲間や専門家の力を借りながら、一つひとつ形にした「WAMODA JAPAN」
まだまだ始まったばかり、今後のWAMODA JAPANの展開にも注目していきたいと思います。